【デザインとシミュレーションを語る】45 : Model Based Design (MBD)手法に隠されている本質とは

【第6章 想定設計を実現する】 Model Based Design (MBD) 手法に隠されている本質とは

 

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2017年3月7日に「第3回 自動車技術のためのCAEフォーラム」にて、「 手戻りゼロに向けたMBD活用による想定設計の実現」 というタイトルで講演いたしました。 本章ではしばらくこの講演内容をまとめるという形で記事を紹介し ていきます。

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添付の図をご覧ください。私が定義する、Model Based Designの実施手順について示しました。

 

 

①    モデルの標準化

過去設計の典型モデルを、 パラメータ駆動のための初期モデルとして定義することが出発点と なります。過去設計のDBから類似性のパターンを調べ、 共通しているデータ群をグループ化し、 パターンの変化を可変設計パラメータとして数値化することで、 パラメータ駆動可能な標準モデルを、CADあるいは、1D/3D CAEモデルの形で定義することができるのです。 モデルの標準化は言い換えれば、 過去設計のノウハウを形式知化し、分析し、 未来設計に再利用できる形にした設計情報といえるので、 モデル標準化の試み自体が高度な設計行為であることをあらためて 強調しておきます。

 

②    手順の標準化

設計性能解析の手順をワークフロー化し、 可変パラメータの組み合わせを自動的に設定し、 計算も自動的に実行可能な形にします。問題を解く手順を、 ワークフローという標準化された形式知に表現したという意味で、 再利用性のある高度な設計情報となっています。 従来は人によって異なる手順が標準化されるということは、 モデルの標準化と対になる形で、 属人的ノウハウから組織として活用可能なノウハウに転換できると いうことでもあるのです。

 

③    サンプリング計算

設計変数、制約条件、要求性能に想定可能な上下限値を与えて、 実験計画法などを用いたサンプリング計算 を実施します。このデータ群は仮想経験DBと言い換えることもで きます。計算回数は、 設計変数と制約条件や要求数の総数次元を勘案しながら、 数百回から数万回程度のサンプリング数を実施することで、 可能な限りの組み合わせ数の新たな設計案を生成します。

 

④    想定要求と意思決定

設計方針に沿った要求性能と制約条件を想定して、限界仕様・ バランス性の高い仕様・ 特化仕様といった設計方針を想定しながら、仮想経験DBから設計 案を絞り込む思考と判断をする段階になります。 様々な状況を想定しながらデータ分析をするこの手順こそが、 想定設計の本質であり、 従来の設計プロセスにはなかった考え方なのです。

 

もう一度上記の手順を十分に解釈し直してほしいのですが、 サンプリングデータには、 モデルの標準化と手順の標準化の成果として、 対象とする製品の過去学習情報と未来想定データが詰まっているの です!このようにサンプリングデータの意味を理解すれば、 どうやって使えば最大の価値が得られるのか、 徹底的に吟味したくなるでしょう。それこそが、 想定設計で実現したいと思っていることなのです。もう一度、 想定設計の定義を記しておきます。

 

“様々な設計情報の変動可能性を想定しておき、 そのための多様な設計案の組み合わせをシミュレーションで事前検 討しておくことで、実現可能な設計案を常に選択できる状態”

 

さて、次回は、サンプリング計算結果を使って、 どのように想定要求と意思決定を行うか、 ケーススタディでご紹介します。

 

【SIMULIA 工藤】

 

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工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤はCAE分野で38年の経験を持つエキスパートとして、CAE開発・販売、HPC活用・マーケティング、最適設計・ロバスト設計市場開拓などを経験し、現在はシミュレーションを活用した設計業務改革コンサルと自身のノウハウ形式知化に取り組んでいます。
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