【デザインとシミュレーションを語る】44 : Vプロセスにおける性能設計と機能設計の役割

【第6章 想定設計を実現する】 Vプロセスにおける性能設計と機能設計の役割

 

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2017年3月7日に「第3回 自動車技術のためのCAEフォーラム」にて、「手戻りゼロに向けたMBD活用による想定設計の実現」というタイトルで講演いたしました。本章ではしばらくこの講演内容をまとめるという形で記事を紹介していきます。

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前回記事では、想定設計が実現していない事態と実現できている状況を比較することで、

“様々な設計情報の変動可能性を想定しておき、そのための多様な設計案の組み合わせをシミュレーションで事前検討しておくことで、実現可能な設計案を常に選択できる状態”

を、想定設計と定義しました。しかし、いきなりこういうことを言われても何故かって、ピンと来にくいと思いますので、最上流から順番にあるべき像を追っていくことにします。

 

(1)   要求管理

抜け漏れのない要求検証項目を設定する

複雑で多岐にわたる要求や制約を漏れなく正しく定義し、それを満足するためのバーチャル/リアルな試験項目につなげるプロセス

(2)   性能設計

合理的な性能目標を部位や部品に与える

複合領域・多目的・多機能の役割をもつ部品や機能間の性能配分を決めることは、後工程での仕様の8割を実質的に決めてしまう、極めて重要な意思決定です

(3)   機能設計

機能を実現する形状をCAEで事前探索する

機能と形状をつなげる設計、形状に意味を与える設計です。設計者の経験ノウハウであるこの段階をいかに標準化するかが組織としてのノウハウ化に直結するところです

(4)   形状設計

機能設計で絞られた形状をベースに、様々な性能間のトレードオフ性、コスト、製造要件などを考慮しCADで形状を設計する

性能設計と機能設計の段階を経ることで、形状に正しい意図が合理的に付加されますので、大きな後戻りのない形状設計を行うことができます

(5)   性能検証

十分な精度をもったCAEモデルで詳細に予測計算し、試作OKをコミットするバーチャル設計の最終段階

思考や判断を要しない作業業務なので、CADから計算結果までは可能な限り自動化して、工数短縮することができます

 

従来は、上記の(2)性能設計と(3)機能設計の役割がなくても、設計者の経験である程度設計できていたわけですが、昨今の製品の複雑性や多岐にわたる要求性能目標により、経験則が通じない場合が増えてきて、試作をし実験して初めて、性能未達に遭遇し、その対応策を試作段階で行ってしまうという、非常のコストと時間のかかる手戻りが発生していたわけです。

 

“(2)性能設計”と“(3)機能設計““を加えたVプロセスが実現すると、形状を決めるための根拠を合理的に決定しているので、後工程で手戻りが発生するリスクを限りなく減らすことができます。俗にいう一発試作が可能になります。Vプロセス左領域の重要な役割がここにあります。さらに、CADで形状を作成をしたあとの“(5)性能検証“までのプロセスが、バーチャルで実施可能な領域になり、これを実現するのがまさに、Model Based Design(MBD)なのです。特に、“(2)性能設計“では、これまでたびたび登場してきた1D-CAEが大きな役割を果たす、といいますか、この性能設計のためにこそ1D-CAEがあると言ってもいいでしょう。“(3)機能設計“においては、じつは過去設計活用が大切であるということがわかります。過去設計の経験を、形式知として表に出すと意味では、1D-CAEと同様これまで十分に着目されてこなかったテーマです。

 

ここまでの説明でも、まだ、当初の“想定設計”を実現する方法についはピンとこないかと思います。次の記事で、それを実現する核心部分である、Model Based Design (MBD)手法について説明いたします。

 

【SIMULIA 工藤】

 

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工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤はCAE分野で38年の経験を持つエキスパートとして、CAE開発・販売、HPC活用・マーケティング、最適設計・ロバスト設計市場開拓などを経験し、現在はシミュレーションを活用した設計業務改革コンサルと自身のノウハウ形式知化に取り組んでいます。
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