【バーチャルでひも解く世界】18 アディティブ・マニュファクチャリングがどんどん現実的に!

ダッソー・システムズで産業機械業界のコンサルタントをしております、小林 敦志です。主に海外のプロジェクトや日々のニュース、または当社ならではの情報を、私の目利きでお伝えしながら、日々変容する社会・製造・ITのトレンドを皆様に共有していきたいと思っています。

 

アディティブ・マニュファクチャリングと聞いて何を思いつきますか?ネットで購入した3Dプリンタでプラモデル(ガンダム!)を作る、ミニチュアを出力するといった使い方を想像されるのではないでしょうか。日本での一般的な印象は、まだ、樹脂素材によるちょっとした小型の部品やアクセサリの出力という、とアディティブ・マニュファクチャリングの初めのころのイメージが強いのではないかと思います。

 

実は今日のアディティブ・マニュファクチャリングは、その応用範囲が大きく広がっています。世界のアディティブ・マニュファクチャリング市場は 現在84億米ドルと評価されており、2028年までに351億米ドルに達すると予想されています。いわゆる「ハイプカーブ」の最初の谷を抜けて、着々と実用化の道を進んでいます。

 

アディティブ・マニュファクチャリングの本質は、英語のadditive、すなわち加算する、付加する製造です。一方、切削に代表される従来の製造方法はサブトラクティブ、減算型、除去する製造です。サブトラクティブ製造の短所は、加工時に圧縮ひずみや熱ひずみにより精度の確保が難しい、廃材の量が多い、大がかりな治工具を必要とする、複雑な形状の作成に向いていない、そもそも製造に入る前の準備工程に時間を要するので、加工工程全体としての時間もかかりがち、という点があります。

 

CADモデルの活用法についても両者は異なります。アディティブ・マニュファクチャリングでは、作り手は作りたいものの3Dモデルを直接CADで構築すればOKです。サブトラクティブの場合には、ある物を作るために、まず型の作成や、研磨する手順などを含めた一連の行程をCADの機能を使って構築作成する必要があります。前者は作りたいものを直接モデル化し、後者は作りたいものに到るまでの準備プロセスからCADを使って少しずつ完成に近づけていくイメージです。

 

上記のようなサブトラクティブとの違いをふまえ、アディティブ・マニュファクチャリングの本質を生かした例をいくつか見ていきましょう。いずれも3DEXPERIENCEプラットフォームのユーザーが関わっています。

 

 

フランスのレンヌ大学病院では、アディティブ・マニュファクチャリングを脳動脈瘤の治療に役立てています。医療用診断画像などを基に患部や手術部位の正確な3Dの形状を作成し、3Dプリンタを使って出力します。施術する医師たちは、脳手術の複雑な手順を、出力した患部の3Dモデルを使って綿密に検討し、本番の手術に臨みます。

 

 

米国のKnust-Godwin社は、石油・ガス産業向けの精密機械部品 委託製造の企業であり、3DEXPERIENCEプラットフォームのユーザーでもあります。同社もアディティブ・マニュファクチャリングを最大限に活用しています。事例動画の中で印象的なのが、同社のユーザーがディスプレイを3面使っているシーン(1分16秒あたり)です。1つ目のディスプレイではSOLIDWORKSで作った形状を確認し、2つ目の画面ではそのシミュレーションを検討しています。3つ面の画面では、その他の操作をしているようです。お客様の要望に従って形状を作成しながらシミュレーションもただちに実施するという業務スタイルは、3DEXPERIENCEプラットフォームを使い、バーチャルな環境だけで高速な業務を実現するだけでなく、アディティブ・マニュファクチャリングでの物理の環境とも合わせて、高速な業務を実現した「ひとりコラボレーション環境」と言えます。KNUST-GODWIN社は、決してベンチャー企業ではなく、50年以上の歴史のある、老舗企業です。アディティブ マニュファクチャリングを生かし、従来2年であった製品開発期間を8ヶ月に短縮するなど、大きな効果を得ています。

 

さらにもうひとつ、ジェットコースターへの応用例をご紹介します。ジェットコースターは設置場所ごとに要望や仕様が大きく異なるため、カスタマイズは必須です。一方、安全性の確認も妥協できません。製造コストだけでなく、運用後の採算性も求められます。安全性を損なうことなく乗り心地を最適化し、稼働時間を最大化して利益を上げる必要があります。遊園地やアトラクション業界向けの設計とエンジニアリングのサービスを専門とするExtreme Analyses Engineering 社が、アディティブ・マニュファクチャリングをジェットコースターの部品製造に導入した事例をみると、驚くべき数字が並んでいます。シミュレーションとアディティブ マニュファクチャリングの採用によって、ました。

 

このようにアディティブ・マニュファクチャリングは様々な業界で導入がはじまっています。読者の皆様の会社でも、この技術を利用することで、生産性の向上や新しいビジネスの創造が目指せるところがあるのではないでしょうか。

 

ダッソー・システムズでは、東京ビッグサイトで11月8日より開催されるJIMTOF2022の特別企画「Additive manufacturingエリア」に出展いたします。ダッソー・システムズのアディティブ・マニュファクチャリングの事例やソリューションをご紹介いたします。ご興味を持たれた方は、是非、お越しください。

第31回 日本国際工作機械見本市 JIMTOF2022

 

海外の様々なトレンドを紹介する「バーチャルでひも解く世界」、いかがだったでしょうか。産業機械業界担当コンサルタントの小林でした。

 

小林 敦志 (Atsushi Kobayashi)

小林 敦志 (Atsushi Kobayashi)

小林はダッソー・システムズで産業機械業界のビジネスコンサルタントをしており、20年以上製造業でのIT活用を支援しています。LinkedInやNoteでも情報発信しております。
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