<ユニークな「進化」>自動車製品のパーソナライズ化と容易なアップグレードに対する 独自性にあふれるXYTのアプローチ

XYTは、一般的な自動車の部品点数が6,000~10,000点であるのに対して、わずか600点余りの部品から成る電気自 動車を製造する企業です。同社は自動車に対してモジュール設計アプローチを採用しており、消費者はモジュール化 された構成部品を交換するだけで、購入した車両のパーソナライズ化やアップグレードを行えるようになっています。 COMPASSでは、スタートアップ企業XYTとその車両にどのような独自性があるのか、同社CEO兼共同設立者のSimon Mencarelli氏にお話を伺いました。

 

COMPASS:XYTはどのように始まったのですか。

 

SIMONMENCARELLI:創業時の目標は、長い目で見て修理と保守の費用効率が高い自動車を実現することでした。自動車修理工場のオーナーであり、FranceCraftの創業者でXYTの共同設立者でもあるMarcChevreauは、エンジニアとして、常に車の形を変え、手を加えてきました。しかし車の進化と共に、修理が困難になってくる状況に直面していました。彼は、シンプルな工具箱の道具で修理できるまで車を簡素化する、モジュール化のアプローチを考えるようになりました。

 

XYTは、従来の自動車メーカーにないどのようなものを提供するのですか。

 

SM:消費者が車をアップグレードできるようにしたいのです。車にダメージを与えることなく一部の部品を取り外し、新しい部品を追加できるように、考え抜いた設計になっています。車は社会的ステータスに結び付けられることも多いので、人の独自性を尊重できるものにしたいのです。靴や衣服のように自動車を個人専用のものにしたいと考えています。

 

それはどう実現されるのですか。

 

SM:移動性能に関する顧客のニーズと、当社が提供可能なものがぴったりと合うようにすることが重要です。特定のクライアントや顧客にふさわしいエクスペリエンスを確実に届けたいのです。XYTの車両は現在、一回の充電で100km走行することができ、最高速度は時速100kmです。つまり当社の車は、常に車で移動するセールスマンにとって良い選択肢とはならないでしょう。

 

消費者は自分の車の設計にどれだけ関与するのですか。

 

SM:XYTの車両の場合、本当に好みに合わせて設計できると言えます。車両開発キットを通してXYTのビジネス・プラットフォームをオープンにすることは、当社の価値提案の一部でもあります。消費者が独自の座席を作りたければ、メーカーのキットを利用し、自分の座席のために独自の材料を用意できます。このアプローチによって、XYTは各種メーカーやデザイナーにライセンスやサービスを販売できるようになっています。新しいバリエーションやアクセサリーを開発するメーカーも、その範囲に含まれます。当社のデザイナーは、グラフィティ・アートの分野で非常に有名なストリート・アーティストでもあります。XYTはユニークな車のデザインを求めていて、彼のようなデザイナーや、違うスタイルを持つ彼の仲間によって、そうしたデザインが形となるかも知れません。

 

 

そうした高度なパーソナライズ化によって、自動車関連製品の寿命は長くなるでしょうか。

 

SM:持続可能な部品であること、そうした特性が、XYTのモデルの一部となっています。独自の車を作り、長い期間をかけて変更を加えることができます。消費者の車両保有年数が長くなれば、XYTは成功を収めることになるでしょう。それにより収益の源は、生産方法から保守とアップグレードのオプションへと移行するでしょう。

 

1台の車を製造するのにどれくらいの時間がかかりますか。

 

SM:XYTの車はロボットや重機を使わずに組み立てることができます。鋼材の溶接を含めシャーシ(車台)の製造作業で、約35時間です。組み立てについて言えば、一人換算で27時間かかります。オーナーが車の注文を終えると、システムから「ご注文の車は、お住まいから通り二つ隔てた先で、○○日に組み立て予定です」、などと通知されるので、オーナーは最終組み立てに立ち会うこともできます。

 

XYTのビジネス・モデルは、商圏を拡大する役割を担うパートナー企業に大きく依存しています。多様な収益チャンネルに手を伸ばすことはできるのでしょうか。

 

SM:当社は、今は自動車販売に集中していますが、今後、さらに多くの収益を生み出すため、ビジネス・モデルの拡大に向けて進んでゆくつもりです。XYTのビジネス・モデルは、概念的にはスマートフォン市場に似た「市場」であると言えます。つまり、XYTのプラットフォームに基づく新しいアクセサリーの設計やデザインにサード・パーティーが関与できるようになる、技術的エコシステムを作り出すのです。こうすることで、車のドライバーだけでなく、職人や移動式の整備場として参加することができる関係者に向けても、さまざまなエクスペリエンスが生み出されます。そうして前進したら、さらに参加企業と収益機会を増やすことができる広告やサービスを提供することも視野に入れています。

 

XYTの最初の取り組みはフランス中心ですが、受注増のために販売国を増やす計画はありますか。

 

SM:当社のアプローチは、国単位で事業を展開するのではなく都市単位のアプローチなので、拠点を選択してゆく予定です。海外からも多数の関心を寄せられていて、XYTのウェブサイトでは、40を超える企業がエコシステムへの参加登録をしてくれています。ベトナム、カンボジア、中国にも登録企業があり、米国ではロサンゼルスとサンフランシスコの登録企業を訪問しました。

 

新しい自動車関連ソリューションでは、都市生活に焦点が当たり、郊外は無視されることが多いのですが、XYTは逆のことをしているように見えます。

 

SM:都心部に住んでいる場合、車は必需品というわけではありません。地下鉄やバスがあります。しかし郊外に住む人は、車で通勤する必要があるのです。

 

将来の自動車を取り巻く状況はどのようになるとお考えですか。

 

SM:境界線がなく、ソリューションの連続体になっているでしょう。私は、カー・シェアリングだけになるとか、人が車を所有しなくなるとは思っていません。個人的には、パーソナライズ化と付加価値のあるサービスに対応できる、ある種のハイブリッド型が主流になると考えています。◆

 

by Ursula Watson

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