インテリジェントカー ~ トヨタ自動車が目指す運転の未来像 ~ 文:ウィリアム・ジェイ・ホルステイン: マガジン第十三回

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通信利用レーダー クルーズ コントロールを搭載した 3 台のトヨタ車は、速度が変化しても自動的に一定の車間距離を保っています。(Image © Toyota)


トヨタ自動車は、自律走行車を含む インテリジェントカー の実現と普及が大半の予想よりも後になると考え、車とドライバーの関係を見直して明確にする漸進的なアプローチを強調しています。
COMPASS編集部では、トヨタ自動車が最近メディアに向けて実施したデモンストレーションと インテリジェントカー の未来についてレポートします。

場所は東京の首都高速道路。ラッシュアワーの時間帯に、私はトヨタプリウスの後部座席に座っています。助手席の後ろの私の位置からは、さえぎるものもなくドライバーの様子が伺えます。

ドライバーがハンドルから手を放した時、車は時速60kmで走行していました。それにも関わらず、高速道路を出る時には車自らがハンドルを切って、人が運転するのとまったく同じように、アクセルをかけて加速させました。私たちが乗ったプリウスは、前を走る別のプリウスとミリ波の周波数を使って無線接続されており、速度変化がありながらも一定の車間距離を保っていました。

これが、トヨタ自動車の通信利用レーダークルーズコントロール(C-ACC)システムによって実現されたトヨタ式自律運転です。いくつかの競合メーカーでは、2020年までに自律走行車を発表すると約束していますが、トヨタ自動車は、ドライバーと車の間にある協働関係を再現するには、それ以上の時間が必要だと考え、無人システムではなく運転支援システムに重点を置いています。

トヨタ自動車は、最近開催したプレスツアーの中で、いくつかのテクノロジーを披露しました。

プリクラッシュセーフティシステム乗っていた車が巡航速度に達した時、駐車レーンにバンが1台駐まってました。そこへ車で近づいてゆくと、バンの横から人体ダミーが出現。車は急ブレーキをかけて右にハンドルを切り、車線を外れることなくダミーを避けました。

パノラミックビュー車外に搭載された4台の広角カメラを使って車両全体の視界が得られるため、通常であれば死角になる場所にいる歩行者を確認することができました。

レーントレースコントロールこのシステムは、車線内で最適な位置を維持するために、車両の操舵角、速度、制動力を調整します。

確かな関係

トヨタ自動車は、自社の取り組みを支えるため、先進安全技術研究センター(CollaborativeSafetyResearchCenter)を開設しました。米国ミシガン州に置かれた同センターでは世界各地の16の大学や病院と共同で26件の研究プロジェクトを進めておりチャック・グーラッシュ氏が所長を務めています。

現時点では、ドライバーは情報画面やヘッドアップディスプレイの内容をチェックしながら、音声による指示や各種の警告音に耳を傾ける必要があります。トヨタ自動車の目標は、車とドライバーが「チームメイト」として、命を守るという課題に取り組む「ドライバーと インテリジェントカー の確かな相互関係」を生み出すことです。「最高のチームメイトは互いに学び合うものです。両者が目と耳で情報を集めて記憶し、順応します。そうした時間が蓄積されて、信頼の基礎が築かれます」グーラッシュ氏は述べています。

トヨタ自動車はマイクロソフト社のKinectテクノロジーを利用して自社のDARV(DriverAwarenessResearchVehicle)をプログラムし、複数のドライバーを認識させようとしています。出発する前にドライバーが車と会話して目的地を決めると、車がドライバーに交通情報を知らせ、代替ルートを提案します。

トヨタ自動車は、米国スタンフォード大学のドライビングシミュレーターでも共同研究を行っています。このシミュレーターは、センサーで脳波を、電子ヘッドギアで目の動きを追跡して、ドライバーの脳の活動と反応を記録します。「このシミュレーターでは、完全な自動制御からドライバーによる全面手動制御、または自動と手動の混在制御へと即座に切り替えることができます」とグーラッシュ氏は説明しています。

しかし、車がいきなり人間に制御を戻してきた場合、人間は十分な速さで即応できるのだろうか?という疑問が、トヨタ自動車に、マス・マーケットで完全自律型の車を受け入れる準備が今にも整うだろうという考えへの疑念を抱かせている理由の一つになっています。人間と機械の間のバランスは、ある程度は変わるかもしれません。しかし、グーラッシュ氏と彼が率いるチームでは、人間が最終的な制御を保持しておく必要があるだろうと考えていますー少なくとも今は。

「トヨタ自動車の目標は、 ドライバーと インテリジェントカー の確かな相互関係を生み出すことです」

チャック・グーラッシュ氏トヨタ自動車先進安全技術研究センター所長

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ドライバーは、トヨタ自動車のDARV(Driver Awareness Research Vehicle)に搭載されたタブレット型サイド ウィンドウで、車を発進させる前に天気や交通情報を調べ、停車する場所を計画し、予定を再確認することができます(Image © Toyota)

文:ウィリアム・ジェイ・ホルステイン

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