【特集・第三回】ダッソー・システムズのいま、そして3D EXPERIENCE FORUM JAPAN 2018 ~2017年11月に、ダッソー・システムズ株式会社代表取締役社長に就任した山賀裕二にフォーブス ジャパン谷本有香さんが聞く~【参加登録締切間近!】

 

>>3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2018 <<
5月30日、31日 ザ・プリンス パークタワー東京にて開催

*ご登録は5月29日正午をもちまして締め切らせていただきました。沢山のご登録誠にありがとうございました。
ごれからもダッソー・システムズご期待ください!

 

聞き手/谷本有香(フォーブスジャパン)

語り手/山賀裕二(ダッソー・システムズ株式会社 代表取締役社長)

 

谷本 先ほど3DEXPERIENCEプラットフォームの利点に「開発期間の短縮」が挙げられましたが、その他にはどんなポイントがありますか。

 

山賀 第一のポイントは設計段階で作った3D情報をその後の別なステージに至るまでつなげて活用できること。パーツのひとつひとつやスケジュールなど様々な角度からデータを活用するとなると、ひとつのソフトウェアでは管理しきれない。プラットフォームがあってこそ、データがフルに活用できるんです。二番目のポイントは、ものづくりにおいては設計後、実機を作って様々な場面を想定した実験を行いますよね。自動車だったら衝突事故、モバイルツールなら落下事故を想定したようなテストは必ず行われてきました。4~5年かかる開発期間の多くはここに費やされると言ってもいい。しかし現在のデジタルの精度なら、まず間違いのない検証ができる。しかもデジタルで検証するとリアルな実験の数百倍のパターンの検証が瞬時に実現できるようになり、開発期間も短縮できる。

 

谷本 つまり開発スピードとクオリティを上げながら、コストを大幅に押さえることができる。

 

 

山賀 そうなんです。そして三番目、これも非常に大切なポイントなんですが、「デザイン・シンキング」という考え方がありますよね。

 

谷本 雑多な価値観に対して、直感や人の感情的な面にまで踏み込んで、言語化されていないニーズを掘り起こす。そういう考え方と言えるでしょうか。

 

山賀 はい、業界によって少しずつ意味は違うのかもしれませんが、「人」に焦点を当てる考え方ですよね。さまざまな立場の人、いろんなタイプのユーザーの人が求めていることを聞いて、開発サイドも立場に固執することなく「ワイガヤ」でプロダクトやサービスに落とし込んでいく。有名な話ですが、例えば、ホンダの大ヒットバイクであるスーパーカブはその開発にあたって「お蕎麦屋さんが出前のとき、片手で運転できる」というキーワードもあったそうです。またソニーのウォークマンも、井深(大)さんの「飛行機の機内でも、いい音で音楽が聴けるポータブルオーディオがほしい」というニーズが原点だったといいます。

 

谷本 「誰が」「何を」求めているのか。当時はニーズがシンプルだったという面はあるにしても、イノベーションを生み出す思想や発想の源は変わらないのかもしれませんね。

 

 

山賀 確かにニーズは多様化していますし、それぞれのニーズに合わせたカスタマイズも必要になってきます。ただ、1人の天才のひらめきによる直感的なイノベーションがあったとしても、開発にあたっていかに多様なニーズ――ユーザーエクスペリエンスにすり合わせるかという課題もあるわけです。その段階では設計や製造の現場の人はもちろん、デザイナーにサプライヤー、営業にマーケティング、場合によってはユーザーも……みんながトライ&エラーを繰り返しながらエクスペリエンスというゴールに向かう必要がある。欧米ではこうした「デジタルワイガヤ」が実用段階に入っていると聞いています。そして3DEXPERIENCEプラットフォーム自体、そうしたビジョンのもとに構築されている。遠からず日本でも、プラットフォームの存在が当たり前のように前提とした新しいものづくりが実現される。そのサポートをするのもわれわれの仕事になっていくんです。

 

谷本 山賀社長からご覧になって、日本の製造業――とりわけ意思決定者の間に「モノからコト」やエクスペリエンスをデザインするという考え方は、どれくらい浸透していると感じてらっしゃいますか?

 

山賀 まだこれからでしょうね。興味深い話があって、アメリカで「デザイン・シンキング」をテーマにしたセミナーをやるとCレベル――いわゆる経営に携わる上級職や役員が率先して考え方を吸収しに行くわけです。一方、日本では現場や担当レベルの方が来て、技術的なディテールまでも吸収しようとする。そのこと自体は素晴らしいんですが、意思決定者が新しい考え方に直接触れないとスピード感は上がらない。事実、意思決定の速度はやはり欧米のほうが早い。そうした意思決定をけん引するチェンジリーダーのような存在が、国内の企業でもますます求められるようになってくると思います。

 

谷本 意思決定者のアジリティ向上は、日本においては企業という単位のみならず、社会全体が抱える課題とも言えるかもしれません。その課題に対して、ダッソー・システムズはどう立ち向かわれるのでしょうか。

 

山賀 私どものビジネス自体、転換期に差し掛かっています。CATIAを中心にビジネスをしていたときには、設計の方と現場でお話をしていればお互いに業績がそこそこ伸びた時代でした。ところがものづくりに求められるものが変わり、われわれ自身のビジネスも時代の要請に応じてCATIAから3DEXPERIENCEプラットフォームへと移行した。当然、われわれ自身、社員ひとりひとりの意識も変えていかなければなりませんし、より大きな危機感をお持ちの経営層に対して啓蒙活動をしていく必要もあります。それこそが今年の弊社の最大のチャレンジだと考えています。

続く

 

Text/Tatsuya Matsuura Photo/Soichi Ise

 

<バックナンバー>

【特集・第一回】ダッソー・システムズのいま、そして3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2018
【特集・第二回】ダッソー・システムズのいま、そして3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2018

 

<プロフィール>

山賀裕二●ダッソー・システムズ株式会社代表取締役社長。1983年慶應義塾大学卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。2007年から日本マイクロソフトにて、執行役常務クラウド事業推進担当としてOffice365などの日本市場における立ち上げ、クラウド事業のアライアンスを担当する。2015年にセールスフォース・ドットコムの専務執行役員エンタープライズ営業担当に、その後2017年2月に専務執行役員デジタル・イノベーション事業統括としてお客様のデジタル変革プロジェクトの推進を指揮する。2017年11月より現職。

 

谷本有香●フォーブス ジャパン副編集長 兼 イベントプロデュース チーフプロデューサー。証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターを経てフリーに。トニー・ブレア元英首相、マイケル・サンデル ハーバード大教授をはじめ世界のVIPへのインタビューは3000人を超える。跡見学園女子大学 兼務講師。

 

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