再生可能エネルギーを追い風にして飛行するソーラードローン。長距離ソーラーUAVを開発するXSunの事例

(Image © Jeremy Levin)

 

今日、世界中でサステナビリティ(持続可能性)への注目が高まる中、革新的なイノベーションの重要性が増しています。ダッソー・システムズは2015年にアクセラレーター・プログラム「3DEXPERIENCE Lab」を開設して以来、スタートアップのプロジェクトを支援しています。本稿では、同プログラムに参加して長距離ソーラーUAV(無人航空機)を開発している仏企業XSunを紹介します。

 

 

XSun創設のきっかけ

XSunは環境に配慮した広域目視調査を行うことをミッションに掲げており、宇宙工学を応用しつつ、太陽光パネルを搭載した長距離飛行が可能なソーラードローンを開発しています。同社の創設者であるBenjamin David氏は、フランスのポリテク・ナント(ナント大学に属する大学院の工学科)で航空宇宙工学を学んでいた頃、ブルターニュ地方のゲランド沖でウォータースポーツを趣味としていました。XSunを立ち上げたきっかけとして「高度な技術が集積されており再生可能エネルギーを動力とするセーリングに魅力を感じ、ソーラードローンの開発につながりました」とコメントしています。自然の力を利用した航空機を作ることを夢に抱いたDavid氏は、エアバスで衛星技術の研究分野に取り組んだ後、長年の夢だったスタートアップを立ち上げました。

 

ゲランド半島には長い海岸線が続き、障害物も少ない環境だったことから、ドローンの長距離飛行のテストに適しており、ソーラー飛行を専門とするスタートアップにとっては最適な環境でした。David氏は「現在最も性能の良いセーリングボートは、ダガーボード(水中翼)を船体下部に取り付けることで水上を滑るように移動します。これは航空宇宙技術の制御機能のノウハウを応用しており、水流による揚力で船体を水上に持ち上げて水の摩擦抵抗を小さくし、船体を水面に浮かせることができるのです。セーリングボートは風という再生可能エネルギーを使いますが、XSunでは、同じく再生可能エネルギーである太陽光を利用してドローンの飛行を可能にしています」

 

磨き抜かれたデザイン

XSunの開発チームは、初期の航空機を想起させる独創的なタンデム翼式のデザインを採用しています。そのため単葉機と比較してソーラーパネルを2倍多く敷き詰めることができ、常に太陽の光を吸収できる設計になっています。David氏は、「タンデム翼式のデザインでは、風の流れを利用して機体の前後の揚力バランスを整える『空力性能』を高めることもできます。現代の航空産業の主流となる機体は主翼が一枚であり、タンデム翼式の空力性能は重視されていませんでしたが、当社の設計はタンデム翼式の利点に着目したのです」と語っています。

 

XSunの開発チームは当初開発したSolarXOneのデザインを改良するため、3Dシミュレーションを使用してドローンの表面品質と空力性能に磨きをかけました。また、ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラットフォーム上でコラボレーションを行ったことにより、サブシステムの構成は維持しながら、チームメンバーが自らの設計アイデアのシミュレーションを何度も行いました。デザインに磨きをかけた末に、2020年半ばに実施した耐久試験において、XSunの最新デザインは、積み荷を搭載したまま12時間飛行し、約600キロメートルの距離をゼロエミッションで飛行することに成功しました。

 

機体は重さ25キログラム弱、翼長4.5メートル強、最大積載量7キロのスペックで12時間以上の飛行が可能になった背景には、機体全体に複合材を使用することで実現した軽量化があります。機体の軽量化実現により、XSunのドローンはあらゆる国での利用に対応するだけでなく、航続距離を延ばすことに繋がります。将来的には20時間の連続飛行を可能にするために、今も開発チームが取り組んでいます。

(Image © Jeremy Levin)

 

インフラの調査、自然観察、環境保護の監視などに活用

現在、XSunのドローンの活用方法として、石油やガスのパイプラインの点検や線路上の障害物や破損を確認する調査、または森林地帯の野生動植物の観察、海上では広域の警戒監視や環境保護を目的とした広範囲な監視、原油流出や不法投棄の発見など、多くの可能性が見えています。

 

「ドローンの航続距離を拡張することで課題も大きくなりますが、その分やり甲斐があります。ドローンに関しては技術や規制、予算に関する問題など、日々新たな課題に直面しますが、非常に刺激的な取り組みだと感じています。今日、陸海空のあらゆる場所で自律型無人機が増えていて、それらを相互に接続できる時代になりつつあります。再生可能エネルギーの利用は遠い未来の話ではなく現実である、と伝えられる日が来れば、当社のミッションは達成できたと言えるかもしれません」とDavid氏は強調します。

 

本記事はダッソー・システムズのCompass magazine(オンライン)からの抄訳です。オリジナル記事(英文)はこちら

ダッソー・ システムズ

ダッソー・ システムズ

3Dソフトウェア市場におけるパイオニアであり、3DとPLMソリューションのワールド・リーダーであるDassault Systèmes(仏)の日本法人です。
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