【上空からの視点】エネルギー・資源業界が資源ビジネスの利益増大にドローン技術を活用

先端技術のアーリー アダプターとして知られていない鉱業、電力、化学の各社の間で、ドローン技術の導入が加速しています。ドローンは、時間とコストの節約、安全性向上のメリットを企業にもたらすことが実証されています。最も重要な点として、ドローンで収集したデータを分析し、オペレーションの向上に役立てることができます。

 

2018年、コマツ社のスマート コンストラクション プログラムは、サンフランシスコに拠点を置くSkycatch社のマシン ビジョン技術を搭載した高精度ドローンを1,000台発注し、史上最大規模の商用ドローンの大口購入となりました。

 

適切なスキルを備えた建設作業員が深刻に不足している日本の状況を解消する目的で2015年に立ち上げられたスマート コンストラクション プログラムは、ドローンを使った自動化機器サービスとして、建設、鉱業、その他の産業用途の重機製造を手掛ける日本の多国籍企業コマツが提供しています。

 

中国のSZ DJI Technology Company社製造のドローンに統合されているテクノロジーは、センチメートル単位の高精度で地図を作成し、建設資材のオンサイト備蓄量をモニタリングするほか、いずれは、コマツ社で開発中のロボット建設車両を制御する目的で同社の建設現場で利用される予定です。

 

コマツ社の注文量の多さが反映しているとおり、ドローン技術は大きな発展を遂げています。その結果、先端技術の導入に従来消極的であった多くの業界がドローンを採用するようになっており、安全性の向上やコスト効率の高い機器使用、リアルタイム データの収集とその分析による生産性の向上に役立てられています。

 

鉱業企業は、ドローンや自動運転車、モノのインターネット(IoT)デバイス、センサーなどを業務に取り入れています。これらの企業によるドローンの購入は、世界の鉱業機器市場の成長に拍車をかけており、Zion Market Research社では、市場規模が2017年の700億米ドル(625億ユーロ)から2024年までに985億米ドル(880億ユーロ)まで増大すると予測しています。

 

Skycatch社の製品ディレクター、Patrick Stuart氏は次のように述べています。「当初こそ不安や疑念が感じられましたが、鉱業業界は先端技術の導入に対する消極的な姿勢から大きな進歩を遂げ、一部の他業種よりも技術革新が加速し、爆発的な勢いで拡大しています。」

 

テクノロジーの成熟

エネルギー・鉱業企業の作業環境は過酷で危険です。高精度カメラ、熱画像化システム、内蔵の画像センサーとデータ取得機能を装備したドローンは、煙突内で空中停止してひび割れを探したり、製油所の生産ユニット内で腐食を見つけたりすることができます。鉱業企業は、ドローンが坑道を探索して安全性を確認してから作業員を送り込み、地上では、傾斜と地盤高を地図にして、機器や備蓄の管理に関するレポートを出力しています。

 

スイスのドローン メーカーFlyability社は、危険でアクセスが難しく狭いスペースでも運転できる無人航空機(UAV)を製造しています。同社でマーケティング責任者を務めるMarc Gandillon氏は次のように述べています。「重工業企業は、ドローンの使用をかなり前から検討してきました」それが最近になって、ドローンの大規模導入を決断する企業が増えているといいます。

 

Gandillon氏は次のように述べています。「なぜ今なのでしょうか。それは、ドローン技術が十分に成熟し、これらの企業のニーズを実際に満たせるようになったからです」

 

たとえば、Dow Chemical Company社は、テキサス州フリーポートの製造施設でドローンの試験導入を2014年に開始しました。同社では、タンクとパイプラインの検査という、以前は何日間もかかり、危険な化学物質に人体をさらすことの多かったプロセスにドローンを活用しています。ドローンを使用すると、同じ作業を数時間で完了でき、危険な物質にさらされるリスクがありません。

 

Dow社でグローバル改善チームを指揮するAndy Lewis氏は、次のように述べています。「最初の数年間は手探り状態でしたが、安全性のリスクを低減するさまざまなテクノロジーを調べるにつれ、ドローンの応用範囲が広がっていきました。ドローンはまさに一石二鳥です。化学物質にさらされる量を減らすと同時に、より迅速に作業を行って、生産効率を高めることも可能です。ドローン導入の効果があまりにも大きかったため、今では世界各地の全施設でドローンを利用しています。生産性が問題となっていない場合でも、安全面でもたらされるメリットだけでも得る価値があります」

 

使いやすさ

ドローンとそこに搭載されるデータ収集用の観測機器がますます高度化する一方で、ドローンを使いやすくなったことが、その採用を促進しているもう一つの主要因として指摘されています。

 

Gandillon氏は次のように述べています。「以前、ドローンは使い方が難しく、規則も統一されていませんでした。しかし今、規制環境が整備され、データ品質が大幅に高まり、適切なセンサーやデータ取得システムも入手できるようになりました。今日、ドローンはさまざまな業界のニーズに対応しており、無人航空機メーカーと重工業企業の間の提携も始まりつつあります」

 

ロンドンに拠点を置く衛星通信企業のInmarsat社で鉱業イノベーション部門ディレクターを務めるJoe Carr氏は、このように環境が整い、機能が向上していることを見れば、なぜドローンが鉱業業界を変革している主要テクノロジーの一つであるかがわかると言います。

 

Carr氏は業界刊行物『Mining Technology』の中で次のように述べています。「ドローンは、人間にとって危険でアクセスがほぼ不可能な視点から鉱山をスキャンするだけでなく、収集した情報を瞬時に伝達することもできます。これにより、鉱山の傾斜や勾配を迅速かつ詳細に分析でき、高度なスキルを備えた地質学者や地盤工学者を危険な環境に配備したり、運搬道路を閉鎖して生産に支障をきたしたりする必要がなくなります」

 

データの重要性

ただし、業界リサーチ アナリストであり、カリフォルニア州レッドウッドシティに拠点を構えるSkylogic Research社のCEOでもあるColin Snow氏は、この状況にまだ満足していません。未成熟なドローン業界の初期段階の成長は誇大な宣伝によるところが大きいと考えているからです。そう指摘したうえで、企業にとってドローンを業務に取り入れることが容易になってきていることは認めています。

 

Snow氏は次のように述べています。「環境が改善していることは確かです。観測機器と画像の質が以前よりもはるかに向上し、使いやすくなったほか、ミッションの計画と実際の処理の大幅な自動化も進んでいます」

 

Snow氏は、今後数年間で見込まれる最大のトレンドの一つとして、目新しさはないものの、企業のバランス シートに重大な影響を与える可能性のある動向を挙げています。つまり、ドローンのデータを企業のワークフローに統合して、文書化、予知保全、企業資産管理、追跡やGISデータの統合に役立てられるようになることです。

 

Flyability社のGandillon氏は次のように述べています。「最終的に必要となるのは、意思決定をサポートするレポートです。その意味で唯一重要なのはデータであると言えます」

 

資産のデジタル化

エネルギー・資源業界の資産のほとんどはライフサイクルが長期にわたり、廃止されるまで保全と変更を続ける必要があります。当初の設計に継続的に変更が加えられるため、資産の正確な3D表現(デジタル ツイン)を企業が維持していないことも少なくありません。また、資産の多くは3Dテクノロジーが登場する前に設計されたものであるため、デジタル ツインを作成することが不可能でした。しかし、ドローン技術を導入することにより、資産に関する3Dデータをドローンで収集し、スキャンしたデータをビジネス エクスペリエンス プラットフォームに入力して、デジタル ツインを作成することが可能になります。これにより経営者は、資産の修理について豊富な情報に基づく決定を下し、老朽化が進む資産の最適化方法を特定することができます。

 

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