【データインテグリティ】デジタルな連続性により、顧客により良い製品を届けようとする産業機械メーカー

多くの産業機械メーカーは、製品データを常に最新で正確な状態に保つのに苦戦しています。高度なビジネス・イノベーション・プラットフォームにより、連続するスレッドとしてデータを管理、ワークフローを強化、イノベーションを推進することで、こうした課題に取り組みます。

 

自動車業界における製造設備のグローバルメーカーである3CON社は、グローバルな設計とエンジニアリング・プロセスをビジネス・イノベーション・プラットフォームに移行し、新しい機械の開発に要する時間を40%削減しました。オーストラリアが拠点のこの企業のCEO、Hannes Auer氏は次のように述べています。「成功の鍵は、このプラットフォームにより3CON社の従業員が、構想から設計、エンジニアリング、製造、アフターサービスへと移行する製品情報の各要素すべてに即時にアクセス可能になり、データを最新、正確、信頼性のある状態で保持し、設計者やエンジニアが効率良く協業できるようになったことです」

 

これは、デジタル・イクイップメント・コンティニュイティという概念であり、3CON社のように多くのメーカーは製品品質を保持し、製品開発のペースを速め、イノベーションを推進していくために、この概念が重要であることを理解しています。さらに、フランスのコンサルティング、テクノロジーサービス企業のキャップジェミニ社により公開された2018年のレポート、「デジタルエンジニアリング:ディスクリート型製造業者のための新しい成長エンジン」によると、メーカーの約3分の2がデジタルな連続性の実現に向けて取り組んでおり、デジタルな連続性がまさに一番の課題であると多くのメーカーは言います。

 

大きな障害

3CON社ではデジタル・イクイップメント・コンティニュイティを実現できましたが、Auer氏は、多くのメーカーに課題が残っている理由を理解しています。

 

Auer氏は次のように述べています。「メーカーは、最先端の各種アプリケーションとの連携を望んでいますが、それぞれのアプリケーションで異なるデータモデルを採用している場合、アプリケーション間を行き来するたびにデータ変換が必要になります。データ変換は、不便で時間もかかります。変換作業を行うたびに、重要な製品情報が失われるリスクにさらされます」

 

「新しいプラットフォームに切り替える前は30%だったプロセス全体のデジタルな連続性が80%まで向上しました」

JEFF WALTERS氏
GLOBE TRAILERS社 エンジニアリング担当バイスプレジデント

 

キャップジェミニ社の「デジタルエンジニアリング」レポートによると、多くの組織の従来型システム/プロセスは、各部門を横断するシームレスなデータ共有をサポートしていないことがわかります。

 

このレポートには次のように記載されています。「10社中6社は、設計や開発の初期段階で、部門間の業務を同期できていません。同程度の割合の組織が、製品がどう設計、製造、サービスされているかについての情報を作成、アクセス、再利用することが難しいと考えています」

 

メーカーは、既存のシステムを効率化したいと望みながらも、困難な課題に直面しています。

 

キャップジェミニ社のバイスプレジデント、PLMグループリーダーであり、レポートの主な著者であるJacques Bacry氏は、次のように述べています。「20年分に相当するデータを保持しているPLMシステムもあります。すべてのデータを確認、再構築する必要があります。データをすべて同期化、収束するのは膨大な作業です」

 

しかし、避けられないことでもあります。

 

Bacry氏は言います。「メーカーが、業務システムの視覚化、シミュレーションを進める中、現実世界のデータと組み合わせ、問題が起こる前に検知、修正し、プロセスの品質を確実に高め、作業者と製品の安全性を向上する必要があります。それには、デジタルな連続性の確立が最優先されます」

 

夢物語から現実へ

3CON社にとって、その答えは、設計とエンジニアリング・プロセス全体を、プロジェクト管理、3D設計、数値制御プログラミング、シミュレーション・アプリケーションが完全に統合された単一のプラットフォームに移すことです。

 

Auer氏は言います。「最先端のアプリケーション群を必要としていました。そのため、膨大な検討を重ねた末、1つのプロバイダーに委ねることを決定しました。現在、当社では、1つのプラットフォーム上で業務プロセス全体を管理しています。世界中の設計者やエンジニア全員が同じデータモデルを使用しています。この情報は、この後、スペアパーツや保守要件を取り扱う、サービス部門に渡ります」

 

2つメリットがあります: 作業者は、インターフェースの問題から解放されると同時に、最新のデータに確実にアクセスできます。

 

Auer氏は言います。「ファイルベースの管理から、統合されたグローバルデータベースへ移行することで、大規模アセンブリの読み込みや更新のパフォーマンスが驚くほど向上しました。帯域が制限された場所からの接続であっても、パフォーマンスは非常に良好です。ワークフローやユーザーロールにより、設計者は、誰が最後に変更を行ったかということを気にかけることなく、常に設計の最新バージョンを利用できるように保証されています」

 

クラウド版コンティニュイティ

3CON社同様、米国を拠点とするトレ-ラー メーカー、Globe Trailers社は、オペレーション全体を統合プラットフォームに移すことにより、デジタルな連続性を実現しましたが、Globe Trailers社ではクラウド版を選択しました。エンジニアリング担当バイスプレジデント、Jeff Walters氏は、この選択により、不安なく、確実にビジネス・コンティニュイティを実現できると述べています。

 

Walters氏は言います。「クラウド・テクノロジーのおかげで、サーバー管理、バックエンド・テクノロジーを担当していたリソースを、立ち上げのフロントエンド・テクノロジー、製造現場やお客様先に振り分けられるようになります。バックエンドのサーバー側の詳細管理をプロに任せるほうが、小/中規模企業にとっては有益であると常々思っていました。それが間違いではなかったことが証明されました」

 

現在では、Globe Trailers社はデジタル・プロセスの整合性に全面的な信頼を持っています。

 

「新しいプラットフォームに切り替える前は30%だった、当社のプロセス全体のデジタルな連続性が80%まで向上しました。デジタル・プロセスを最適化できたことで、巨大なプリンターを廃棄できました」

 

より安全で、信頼性の高い製品

デジタルな連続性の利点は、社内業務の効率化をはるかに凌駕します。エンジニアリングの整合性を高めると同時に、プロセスを改善し、過去のミスの繰り返しを回避することにより、メーカーはお客様のためにより良いソリューションを提供できます。

 

3CON社のAuer氏は言います。「時間が節約できるだけではなく、エンジニアリングの品質もより良くなります。以前は、設計者全員が最新のCADデータで作業するようにするのは大変難しいことでした。現在では、ワークフロー内で何かが変更されると、その製品で作業をするすべての人に即時に通知されます。改善点はすべて標準モデルに統合されます。たとえば、アジアで機械に不具合があった場合、マスター製品テンプレートが更新されます。そして、世界の別の地域の拠点の設計者であっても、その情報を受け取り、起こった現象を正確に把握できるので、同様の不具合を再び起こさずにすみます」

 

新しい生産方式や生産プロセスは、個々の製品の製造要件向けにさらに微調整されるため、デジタルな連続性は、メーカーで開発する上でも基礎となります。

 

キャップジェミニ社のBacry氏は言います。「エンジニアリングを始める段階で、すぐに製品の製造方法を定義できれば、新たな設計方法や製作方法をイメージすることもできます。ユーザーは、製品を製作するために必要な最適な設備を入手することにより、迅速に対応できます。また、工場内の作業過程をシミュレーションできると、生産ラインを迅速にカスタマイズすることもできます」

著者: Rebecca Lambert

ダッソー・ システムズ

3Dソフトウェア市場におけるパイオニアであり、3DとPLMソリューションのワールド・リーダーであるダッソー・システムズ(仏)の日本法人です。
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