【デザインとシミュレーションを語る】第三回:シミュレーションは、実験と比べて何がいい?

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なぜシミュレーションが必要なのか、どんなメリットがあるのかということは、検索等すればすぐに見つけられますけれども、このコラムなりの視点で説明してみましょう。

実験での課題とされる6つの点をリストしてみました。5つぐらいにしたいところですが、どうしてもこれ以上は減らせない大事なポイントばかりです。

① 完全な再現困難、再利用は困難か不可
② 測定できない部位がある
③ 観測できない現象や物理量がある
④ 実験誤差・測定誤差のから逃れられない
⑤ 実験の組合せ多いと、時間とコスト大
⑥ 失敗は無駄

これらの課題に対するシミュレーションのメリットをまとめてみましょう。わかりやすく、シンプルに書きます。

① 再現・再利用が容易
一度モデルを作りさえすれば、同じ条件を入れれば、確実に同じ答えが出てきます。

② どんな部位でも可視化
複雑な製品構造の中でも、部材の中身でも、空間のどこでも、任意に切って見ることができます。

③ 実験では測定できない物理量
原理的にはどんな物理量でも計算可能。

④ 意図的に誤差を扱える
変数や条件に、意図的に誤差分布を与えて、応答値の分布を得られる。

⑤ パラメトリック・モデルを自動生成
一つの雛形モデルから、形状や条件を変更したモデルを自在に作成できる。

⑥ 失敗から、学べる
求める計算結果でない場合でも、学習して別な計算を何度でもできる。コストは計算時間のみ。

どのポイントも重要だと思うのですが、私がもっとも重要なメリットだと思うのは、⑤と⑥です。変数を変えて何度でも繰り返しできるという、バーチャル世界の一番得意なことだからです。また、極論すると、シミュレーションにはどれ一つとして失敗はない、すべての結果から何かを学ぶことができます。最終的に捨てられる結果であっても、選択された結果を導き出すための基礎情報になるからです。比較対象がないことには、いいも悪いも判断できません。

人間の経験も同じことで、熟練技術者と言われる人たちは、何度も失敗を積み重ねた人と言い換えてもいいかもしれません。ただし、同じ失敗ではなく違う失敗をして学びを増やしていることと、失敗の頻度が減って、成功するコツを会得してきたプロセスが経験なわけですね。それを同様なことを、バーチャルで体験できてしまうと考えたら、素晴らしいことではありませんか?しかも、実際に試作せず、物を壊さず、危険を起こさずに、遥かに短い時間で同じ域に到達できる可能性だってある!

ところが、シミュレーションが当たり前になり過ぎてきたがゆえに、その利点が十分に生かされているようには思われません。単に、計算して捨てられ、忘れ去られる結果が大半なのではないでしょうか?本来の利点に立ち戻って、もっと、シミュレーションの結果を活用しなくてはいけません。このことを一言でいうと、

・仮想経験を体験できる

さらに、その“仮想経験”を極端に実施すると、通常は行わないような、あり得ない“想定外”の条件や現象もシミュレーションできてしまいます。一時、津波の大きさを“想定外”だからという言葉が闊歩しましたが、実際は想定した技術者がいましたし、そういうものなのです。できるのです。

・想定外を想定できる

ということこそ、実験は無理、危険すぎる状況に対して、シミュレーションでしかできないことです。また、想定外には思わぬヒントや、予想外の結果を得るという機会があることも意味します。常識であれば作らないモデルや条件で、素晴らしい結果が出るという可能性もあるわけです。
ぜひ、この二つのポイントに焦点を当てて、シミュレーションを見直して、活用してみてはいかがでしょうか。

【SIMULIA 工藤】

<バックナンバー>
【デザインとシミュレーションを語る】第一回:イントロダクション
【デザインとシミュレーションを語る】第二回:シミュレーションの分類
【デザインとシミュレーションを語る】第三回:シミュレーションは実験と比べて何がいい?
【デザインとシミュレーションを語る】第四回:シミュレーションは緻密な統合技術
【デザインとシミュレーションを語る】第五回:リアルとバーチャルの垣根をなくせたら?(1)
【デザインとシミュレーションを語る】第六回:リアルとバーチャルの垣根をなくせたら?(2)
【デザインとシミュレーションを語る】第七回:3D-CADは何のため?

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