【 デザイン と シミュレーション を語る】第九回 : CAEを志す人へのメッセージ(2)

デザイン シミュレーション CAD CAE

前回の「CAEを志す人へのメッセージ(1)」からの続きになります。

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(3)データのつながりを見て、誰から、誰に、を意識した仕事をする

自分の仕事(処理)の”入力先“と”出力先“を考えたことがありますか。自分が仕事をするための情報やデータが誰から供給され、自分が処理した、データを誰が使うのか、ということです。ふだん、データは、コンピュータ内のフォルダーや、DBの中にありますから、”誰“を意識することは、あまりないのではないでしょうか。専門分野で仕事をしていると、ともすると、今やっていること、だけに注力してしまい、特に、自分の結果を待っている人が何を欲しているか、を曖昧にしてしまうことがあるものです。

 

どこの会社でも顧客を意識せよと、言われるでしょう。しかし、顧客に直接つながりのない部署で顧客を意識するというのは、どうすればいいか、実際には難しいですね。実はその一番の近道が、自分の仕事の入出力に関わる人たちが、自分にとって最も身近な顧客であると考えることなのです。組織全体がそういう意識で仕事をすれば、各人がおのおのの立場での顧客視点を持つことができ、それが会社全体の顧客視点になるわけです。

 

例えば、上流から受けた設計モデルの意図を十分に理解しないままに、必要のない補強を加えたり、自分が設計変更した影響に気付かず、(下流の)思いもよらず製造条件に影響を与えていたり、ということがあるかもしれません。これを顧客視点で考えると、ずいぶん、“顧客”に迷惑をかけているということになりますね。

 

設計は、「データを集め、パラメータを決め、次の工程に流す、という手順のつながり」と考えれば、つながりを意識した仕事をすることで、組織全体の仕事の流れを大局的に見る視点が養われると思うのです。あなたの仕事を大きくし、「出世」するためにも、ぜひ必要な視点です。

 

これからは、仕事の流れ・データの流れを強く意識したIT化がどんどん進んでいくでしょう。シミュレーションによる設計業務は、製造企業にとって、間違いなく競争力の源泉になります。CAEは、後方支援部隊ではなく、最前線部隊になるのです。CAEの本質は、シミュレーションで設計するということですから、そうなって当然なのです。

 

(1)は、エンジニアとして当然の条件、専門性で抜きんでること。(2)と(3)は、自分が成長し、よりワクワクする仕事を掴んでいくための、ヒント、とお考えください。CAE担当者の地位とか、出世できるのか、という議論は従来かあちこちでされてきました。その不安には、貴方が書いておられるように、”本流である設計部門に比べて、CAEは本流でない、後方部門”という企業内でのカルチャーが影響しているかもしれません。しかし、今後はけっしてそうはならないはずだということが伝わりましたでしょうか。そのようなカルチャーが仮にあるとしたら、それを自ら変えるチャンスを貰ったと思うことです。

 

私は、CAEのど真ん中というより、周辺を歩いてきた人間なので、大きなことを語る資格はないかもしれませんが、それでもCAEの未来は十分すぎるほど明るいと信じていますし、私自身いまだにワクワクながら新たしいテーマにチャレンジしています。ぜひ、いっしょの世界に。

 

===転載終わり===

 

SIMULIA 工藤】

<バックナンバー>
【デザインとシミュレーションを語る】第一回:イントロダクション
【デザインとシミュレーションを語る】第二回:シミュレーションの分類
【デザインとシミュレーションを語る】第三回:シミュレーションは実験と比べて何がいい?
【デザインとシミュレーションを語る】第四回:シミュレーションは緻密な統合技術
【デザインとシミュレーションを語る】第五回:リアルとバーチャルの垣根をなくせたら?(1)
【デザインとシミュレーションを語る】第六回:リアルとバーチャルの垣根をなくせたら?(2)
【デザインとシミュレーションを語る】第七回:3D-CADは何のため?
【デザインとシミュレーションを語る】第八回:CAEを志す人へのメッセージ(1)

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤はCAE分野で38年の経験を持つエキスパートとして、CAE開発・販売、HPC活用・マーケティング、最適設計・ロバスト設計市場開拓などを経験し、現在はシミュレーションを活用した設計業務改革コンサルと自身のノウハウ形式知化に取り組んでいます。
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