デジタルマーケットプレイスに適応した働き方で、より大きな成功をつかむ

B2B業界ではマーケットプレイスが、伝統的なサプライチェーンに破壊的な革命をもたらしつつあります。これには従来型の販売・流通モデルも含まれます。営業のプロがこの新たな環境で成功するには、一部の販売形態をデジタル化されたセルフサービス・チャネルに移行すると同時に、そのプラットフォームを利用して顧客エンゲージメントを深め、より複雑な販売状況でより高い収益を生まなければなりません。

 

2018年2月、カリフォルニア州サンノゼの機械メーカーPT&R Manufacturing社では、複数業界への事業拡大に貢献するとともに、100万米ドル(85万5,000ユーロ)の売り上げを達成したトップセールスの祝賀会がありました。しかし、この「トップセールス」は実は人間ではありません。PT&R社のトップセールスは、XometryというB2Bカスタム製造向け、デジタルマーケットプレイスなのです。

 

PT&R社は小規模な企業であるため、Xometryの多くのクライアントが通常そうであるように、専門の営業チームを持ちません。Xometryの営業・マーケティング担当シニア・バイスプレジデントであるBill Cronin氏は、米国における全製造企業のうち、75%以上が従業員数20人以下の企業-Xometryがターゲットとするサプライヤー市場-であると指摘します。

 

「それらの企業の大半は、営業・マーケティングを担当する従業員をまったく置いていません」と、Bill Cronin氏は述べます。「Xometryのような、仲介と取引プロセスが自動化されたマーケットプレイスに参加することで、新たな見込み客にリーチし、営業・マーケティング担当者がいなくても自社の事業を成長させることができます」

 

小規模な企業が営業チームを持たない一方で、営業のプロフェッショナルはどうなるのでしょうか。売り手と買い手が伝統的な販売・流通チャネルをいよいよ介さず、デジタルマーケットプレイスを通じて直接に取引するようになった現在、これは多くの者が抱く疑問です。ドイツのハンブルクを拠点に市場調査を行うStatista社によれば、2017年における世界のデジタル市場での取引は7兆7,000億米ドル(6兆4,000億ユーロ)でした。2013年から30%増加し、B2C eコマース市場の規模は3倍になりました。

 

B2Bセールスマンの死

市場調査および事業コンサルティングを手掛けるForrester Research社は、『B2Bセールスマンの死』と題された2015年の報告書において、この問題を真っ向から取り上げています。その分析では、さらに多くの顧客がデジタルチャネルを通じて購入するようになり、米国におけるB2B営業マンのうち100万人(5人に1人)が、2020年までに消え去るだろうと述べています。

 

この報告書の主要アナリストであり、現在はシカゴを拠点とするB2B eコマース戦略企業Paradigm B2B社のCEOを務めるAndy Hoar氏は、次のように述べます。「世の中には文字通りクライアントとの取引を計上するだけの『御用聞き』営業マンがたくさんいます。我々にはこのプロセスの付加価値が急速に消えつつあるのがわかります。B2Bのバイヤーは、自らオンラインで発注する方をますます好むようになっているからです。セルフサービスには、ハイパーパーソナライゼーションや在庫および価格の透明性など、フルサービスのやり取りにはない機能が含まれており、セルフサービスの体験は現在多くの点で、営業マンとやり取りするよりも優っています」

 

「しかしB2B企業の多くは、依然として営業マンを通じて購入することを顧客に強いています」とHoar氏。「B2Bのバイヤーの少なくとも40%が直接ブランドとのやり取りを望んでいると調査でははっきり示されているのに、B2Bブランドが卸売業者や流通業者を通すことを顧客に強いているのも同じ問題です。これらの要望に逆らえば、結局は顧客を遠ざけ、その財布の紐をしめることになるだけです」

 

複雑性の支援

しかし、B2B eコマースの拡大とともに営業マンの役割と戦略を適切に順応させるならば、営業マンが勝者になるということもあり得ます。シンプルな製品を求め、シンプルな購買環境で活動するバイヤーがエンド・トゥー・エンドのセルフサービス利用に傾く一方で、営業マンはより複雑なケースにおける価値の高いコンサルティングに移行することができ、そこではマルチチャネルの取り組みの豊かさが優位性として機能しうると、Hoar氏は言います。

 

「メーカーであれ販売代理店であれ、デジタルコマースで自社の営業チームの力を驚くほど増幅することができます」

BRIAN BECK氏
GUIDANCE SOLUTIONS社 Eコマース・オムニチャネル戦略担当シニア・バイスプレジデント

 

「メーカーであれ販売代理店であれ、デジタルコマースで自社の営業チームの力を驚くほど増幅することができます」と述べるのは、Brian Beck氏。同氏はカリフォルニア州マリナ・デル・レイを拠点とするB2BおよびB2C eコマース・サービス企業Guidance Solutions社のeコマース・オムニチャネル戦略担当シニア・バイスプレジデントであり、しばしばB2B eコマース・イベントで講演しています。「B2B業界がeコマースに移行する中、自社の営業・マーケティング部門の従業員に対して、彼らが競争するのに必要なテクノロジーを与える必要があります。彼らはeコマースを必要とし、あなたもeコマースを必要とします。営業チームを早くから移行に取り組ませ、彼らを関与させ続ければ、双方とも勝者になれるでしょう」

 

自社チャネルの強化

企業のマルチチャネルによる販売管理を支援するプラットフォームChannelAdvisorの創設者兼会長であるScot Wingo氏は、デジタルコマースが破壊の原因にもなれば力の源にもなるということを認めています。

 

「営業担当者はマルチチャネル環境で顧客とかかわるために新たな能力を獲得する必要があるかもしれませんが、そうすることには多くの利点があります」と、同氏は述べます。「霧が晴れるようなものです。デジタルチャネルから営業チームは顧客の直接のフィードバックを得られます。デジタルチャネルを通じて顧客はさらに知識を得られるので、営業チームは販売サイクルを短縮できます。プラットフォーム・アナリティクスは、営業チームが需要の変化をより早く見極めて対応するのに役立てられます」

 

プロフェッショナル・サービスを提供する多国籍企業アーンスト・アンド・ヤング社の『デジタル販売:B2Bバイヤーの変化に対応できる販売の再設計』と題された報告書において、B2Bデジタルコマースは本質的に営業にとってチャンスであるという見解が述べられています。デジタル販売を受け入れつつ、今日のB2Bのバイヤーに自分たちの得意分野で対応する営業チームは、古い慣行に固執する者よりもはるかに成功すると、この報告書の著者たちはみています。そのような営業マンはより多くの見込み客を抱え、パイプラインも大きく、契約率も高く、平均取引規模も大きいのです。

 

PT&R社のような小規模企業にとっては、デジタルマーケットプレイスは成長を促し販売機能を高めてくれるかもしれません。その際、自社のビジネスをさらに成長させてくれるデジタルに精通した専門家を雇うとなれば、市場に敵対するのではなく向き合うことになり、良き施策であるといえます。

by Laura Wilber

ダッソー・ システムズ

ダッソー・ システムズ

3Dソフトウェア市場におけるパイオニアであり、3DとPLMソリューションのワールド・リーダーであるダッソー・システムズ(仏)の日本法人です。
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