【デザインとシミュレーションを語る】第十一回: 作業を自動化すること、その真の価値とは

ダッソー・システムズ ブログ

第2章 自動化とパラメトリック性 -作業を自動化すること、その真の価値とは

 

シミュレーションに限りませんが、一般的にコンピュータ上の作業には、どんなソフトであれ、入力→処理→出力という手順がつきものです。問題は、処理はコンピュータで実行されるのだけれど、”入力をする”、”出力を読む”という行為は、人間の手作業や見たり判断したりする作業になるので、人間の処理できるスピード以上には早くできないということです。

 

何を当たり前のことをもったいぶって言ってるかですって?たとえばそういう仕事を毎日何度も何度もを繰り返すような作業を想像してみてください。実際に世の中にはたくさんあるのです。前回の記事で紹介した、GEでのタービン設計の作業はまさに、ひたすら形状、材料や条件を変えてはプロットするという繰り返し作業を人海戦術で行っていたのでしたね。

 

身近な例ですと、たとえば、Excelを使って仕事をしている方たくさんいると思います。その作業を想像してみてください。コンピュータによる処理や計算が早くなればなるほど、入出力をしている人間の手作業の方がボトルネックになってきます。そういう手順が連続する場合は、なおさらです。

 

そこで、入出力作業を自動化するというソフトウエアが登場してくるのは、今から思えば不思議ではありません。そのことは、前回の記事に書いてあるのでお読みください。作業が自動化されることの価値は実は、作業時間が短縮される効果はもとより、より本質的な素晴らしい付加価値があるのだということを、ぜひ理解いただきたいのです。コンピュータ上での対話型作業の大半が自動化されるということで、実は、下記に示すように設計業務が根本的に変わるのです。

 

1)作業時間の激減と人為ミスゼロ

2)思考と判断という業務へ集中できる

3)人の経験や技術に依存しない

4)より多くの設計方案を効率よく検討できる

 

1)は定量的な成果として、工数が1/5~1/20まで短縮されることが、たくさんの例で実証されています。如何に手作業がボトルネックだったかということが逆にわかりますね。また、自動化するすることで、人為ミスゼロになるので、作業の品質が100%に向上するということです。ミスがないかをチェックする無駄な作業も一切不要になります。大幅な時間とコストの節約になります。

 

2)の効果は、本来の設計者の能力をより効果的に引き出すことができるということです。思考と判断には集中力が必要なのですが、一回一回計算しては見直し、途中で別の用事が入ったりという作業と混在したプロセスの中では集中して思考することは難しいのです。一方、作業時間がなくなり、計算結果が自動でたくさん生成できるようになると、それらをいろんな視点で分析し、思考するという時間を持つことができるようになります。定量的にはならないものの、実は非常に価値が高い効果といえるのです。

 

3)は、作業手順を標準化できると言い換えた方が分かりやすいでしょう。熟練者しかできなかった複雑な手順も標準化されてしまえば、経験の浅い人でも作業が可能になります。熟練者は、煩わしい作業から解放され、さらに高度な業務に従事でき、組織能力が全体として向上するということにつながります。

 

4)の意味するところは、1)の成果活用と解釈できます。手作業で例えば2日でコツコツと10ケースしか検討できなかったのが、1週間かけたとしても数百ケースの組み合わせのパラメータスタディを効率的に行うことができるとなると、実験計画や最適設計といったより高度な自動化の方法論を適用できるようになり、設計探索にイノベーションが起こるのです。

 

さてさて、コンピュータでの作業を標準化し、手順を自動するというだけで、これだけの効果が出るのです。単純な原理こそが、世の中を大きく変えるという真理はここにも当てはまるのではないでしょうか。先のブログに書いたように、Software Robotの概念を想起した時、産業革命を思い出しながらこれらのことを一瞬で見抜いたDr. Siu Tongを尊敬したいと思います。おかげで、GEは、1980年代にすでにその恩恵をたっぷり受けていたのです。日本にその技術が上陸したのは、ほぼ20年後でした。

 

【SIMULIA 工藤】

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤はCAE分野で38年の経験を持つエキスパートとして、CAE開発・販売、HPC活用・マーケティング、最適設計・ロバスト設計市場開拓などを経験し、現在はシミュレーションを活用した設計業務改革コンサルと自身のノウハウ形式知化に取り組んでいます。
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