【デザインとシミュレーションを語る】 81 : CAEと実験の相補的関係

【第10章 Simulation Governance】 81 : CAEと実験の相補的関係

 

ダッソー・システムズの工藤です。

CAEと実験との関わりは未来永劫切り離されることはありません。シミュレーションはバーチャルと言っても、実験と比較しての精度向上、ベンチ試験での再現性検証、新しい実験テーマの現象解明やモデル化など、実験とは切っても切り離せない関係にあります。なので実験部署の中にCAE部門が包含されていたり、CAE部門の中で実験も行うという組織形態も見られます。いってみれば、CAEと実験は相補的な関係にあり、かならずしも実験からCAEに移行という単純な図式では捉えられないということです。そこで思い出したのが、GMで30年以上にもわたってCAEに関わってこられた方のブログです。今回テーマに合っていますし、非常に含蓄に富んで素晴らしいので、紹介します。

 

Simulation-Driven Test: A Path to “Smart” Testing?

Written by Keith Meintjes

https://www.cimdata.com/en/component/k2/item/8517-simulation-driven-test-a-path-to-smart-testing

 

それほど長くない記事ですので、全文読むことをお勧めします、CAEに関わっておられる方であればすぐにうなずける内容が書かれています。私が感銘を受けたところを特に抜粋して翻訳も付けますと、

 

=== 引用と翻訳 ===

 

・ “A world-class simulation capability can only exist with a world-class test capability.”

・最高レベルのシミュレーション能力は最高レベルのテスト能力があってこそ実現される

 

・” like NAFEMS (Rod Dreisbach) advance the the idea of “smart testing” I have used the descriptor of “simulation-driven test”. Both of these terms are really getting at the idea of the integration of simulation and test for a changing product development paradigm.”

・NAFEMSでも言われているスマート・テスティングというアイデアは、私(Meintjes氏)が提唱してきた“シミュレーション主導実験“と同様で、両語とも開発パラダイムを変革するためのシミュレーションとテストの統合という考えに行き着きます。

 

・“Those tests and simulations should be cross-referenced and reconciled; to be sure that lessons learned are documented and continuous improvement is put in place.”

・実験とシミュレーションは相互参照され調和されるべきであって、おのおのの学習の結果は記述され、継続的な改善がなされなくてはならない。

 

=== 引用と翻訳終わり ===

(Keith Meintjesとは事前にコンタクトし、本ブログへの引用の許可をいただいています。)

 

など、ごく当たり前のように読める文言には、深い経験と洞察に裏付けられた重みを感じます。ここで言われていることが今の日本のCAEでどこまでしっかり行われているのか、当事者の方々にしかわからないことだとは思いますが、じっくりとかみ締めて振り返るのは悪くはないことでしょう。シミュレーション領域の端っこにいるだけの不肖私でも、この30年以上のお客様との会話や仕事を通じて、Meintjes氏とまったく同様の考えに辿りついておりましたので、この英文記事を読んでとても意を強くしたしだいです。

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤 啓治 (Keiji Kudo)

工藤はCAE分野で36年の経験を持つエキスパートとして、CAE開発・販売、HPC活用・マーケティング、最適設計・ロバスト設計市場開拓などを経験し、現在はシミュレーションを活用した設計業務改革コンサルと自身のノウハウ形式知化に取り組んでいます。
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