建築・建設February 27, 2015

【建築・建設業界コンテンツ】3: 外装設計とファブリケーションの間の高コストな隔たり

今日のBIMテクノロジーの多くは、ファブリケーションならびにその設置、そしてそれらを支える図面の作成プロセスの連携を効果的に実現できていません。施主がサブコンを建設前の各種業務に参画させることにより(多くの場合ゼネコンをそうさせるように)、これらの業務を調整し、エラーを削減することができます。
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今日のBIMテクノロジーの多くは、ファブリケーションならびにその設置、そしてそれらを支える図面の作成プロセスの連携を効果的に実現できていません。施主がサブコンを建設前の各種業務に参画させることにより(多くの場合ゼネコンをそうさせるように)、これらの業務を調整し、エラーを削減することができます。

そこで必要となるのが、建物のデザインをファブリケーションの詳細や設置手順に結びつけるためのデータのバックボーンです。建築家が、外装の加工を手掛けるメーカーや、外装システムを設置するゼネコンやサブコンから独立して、外装をデザインすることは一般的です。

建設プロジェクトにおいて発生する無駄は25%を超えており、その無駄の大部分は建物の外装に関連しています。例えば、ドキュメントの重複作成や未使用の在庫資材、作業員の待機、設置作業における手戻りなどです。施主やゼネコンは、どれほどの無駄が外装デザインのエンジニアリングや計画プロセスに関連しているかを理解しなければなりません。

新しい契約構造 「デザイン・ビッド・ビルド」モデルは、伝統的な契約モデルです。残念ながら、このモデルでは、ビジネスプロセスやコスト管理システムの透明性が欠如しているため、施主がプロジェクトを効率的に展開することは困難です。 このモデルにおいては、誰も建設プロジェクトのプロセス全体を通じてコスト管理の責任を負うことができません。これを解決する一つの答えが「デザイン・ビルド・オペレート」モデルです。

「デザイン・ビルド・オペレート」モデルの契約形態では、施主がプロジェクトをより効果的に実現するため、ゼネコン、サブコン、ビル設備メーカー、管理運営・保守担当企業、およびその他の関係者の業務を調整することが可能です。 本アプローチは、ビルの建設プロセスを、大規模な製品を製造(歴史的に建設と比べて無駄が圧倒的に少ない)する場合のプロセスと同様に捉えるものです。

情報の受け渡しをめぐる諸問題 外装設計者がファブリケーション用のドキュメントを作成する場合、情報の受け渡しが重要な課題となります。ビルが複雑な外装形状を持つ場合、正確な3D形状をシームレスに生成すると共に、CNC切削機械用の具体的な2D図面を作成することが重要です。 現在のBIMソフトウェアは、ファブリケーションに適した3D形状を作成する機能に限界があります。よって、建築家が、メーカーが使用する部品ライブラリにアクセスする (類似データをゼロから作成するのではなく) ことは理にかなっています。 外装設計のエンジニアは、度重なる設計変更に対応し、外装の製造用ドキュメントをすぐに再作成することは、建築家のモデルと直接連携していない限り困難です。

設置計画 設置作業は当然のことながら、生産性を向上する上で重要な側面です。独自の様式や形状を持つ外装パネルの数や種類が増えると、現場での設置管理の難易度が大幅に高まります。 現場でのパネルの納品順序や設置プロセスの管理が不適切な場合、どのパネルをどこに設置するかを理解することが困難となります。その結果、時間や資源に大きな無駄が生じる可能性があります。 問題をさらに悪化させているのは、メーカーも建築家も、クレーンや足場、またその他の設置機材についてのデータをドキュメントに盛り込んでいないことです。これらの第三者のデータも、デリバリープロセスを最適化するために必ず含める必要があります。

結論として、私たちはビル建設における大量の無駄に対処するための新しい契約形態、新しいプロセス、そして新しいツールが必要なのです。分断された設計、ファブリケーションの詳細定義、設置計画のプロセスを単一の環境に統合し、ビルのプロジェクトのコストやリスクを正しく把握する必要があります。そのような環境を実現する上で効果的なソリューションが、クラウドです。

文:Patrick Mays

ダッソー・システムズ「建設・建築ソリューション」- http://www.3ds.com/ja/industries/architecture-engineering-construction/

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