【5Gモジュール方式】通信会社は単純な概念をどのように使って複雑なニーズにより適切に応えるか

5G(モバイル機器用の第5世代通信およびデータプラットフォーム)はネットワークではありません。むしろ、ネットワークと他のテクノロジーをまとめて能力を大幅に拡張し、多様な状況で幅広い用途を可能にするための概念です。

 

5G(第5世代)は最新のセルラー移動通信を表しますが、単なる4Gテクノロジーの進化型にとどまりません。提唱者は5Gをデジタル革命のプラットフォームと表現し、デジタルなものをすべてつなげ、そのデータをかつてないほど効率的かつ効果的に管理します。

 

エリクソン社の北米の5Gマーケティング部門の責任者であるPeter Linder氏は、その違いを「現在の交通パターンと予測される交通パターンに基づいて高速道路にアスファルトを敷くようなもの」と説明します。Linder氏は言います。「交通パターンが変わったら、設備を運んで道路を広げます。それがスマートフォンと高速なインターネット速度で構成される今日の4Gネットワークで、トラフィックはビットとバイトで測ります」

 

5Gはさらに一歩進み、スペクトルの新しい部分にさらにデジタル「アスファルト」を敷きます。5Gは、さまざまな用途のニーズを異なるスペクトル領域の特定の能力に対応付けることでより多くのトラフィックを同時に処理できます。そのため、いつの日かスマート道路と自動運転システムにより自動車、歩行者、自転車が完全に安全に共存できるようになるでしょう。

 

モジュール戦略

「これだけの多様性はモジュール方式でしか実現できません」と、ミュンヘンを拠点とし複雑なプロジェクトに対する助言を企業に与えるID-Consult GmbH社の創業者兼マネージングディレクターであるJan Gopfert氏は語ります。

 

「5Gはネットワークを完全にプログラムで制御できるようにし、さまざまな仮想ネットワークが同じインフラ上にあるシステム・オブ・システムズ(SOS:SYSTEM OF SYSTEMS)です。5Gは、多くの垂直産業のデジタル化を可能にするでしょう」

VOLKER HELD氏
ノキア社 5G市場開発マネージャー

 

モジュール方式では、通信機器メーカーと無線通信事業者がさまざまな無線通信、ベースバンド、クラウド技術を複数のスペクトルと分散アーキテクチャに柔軟に投入して組み合わせることができます。

 

これを実現するには、エリクソン社、ノキア社、クアルコム社、ファーウェイ社などの通信機器メーカーがAT & T社、スプリント社、Orange社、ボーダフォン社などの携帯電話事業者と広範囲に連携する必要があります。その結果が、さまざまなバンド幅と遅延要件をサポートする3層インフラです。

 

  • 高度モバイルブロードバンド(eMBB:Enhanced Mobile Broadband)。より高速で信頼性の高いモバイルブロードバンドに対する消費者需要にHDビデオ用の最低でも100Mpbsでのデータ転送速度と拡張現実/仮想現実で対応します。
  • 超高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communications)。患者へのリモート手術、自律的車両間相互作用、産業オートメーションなどの中断の危険にさらせないリアルタイムでミッションクリティカルなタスクに対処します。このようなクリティカルな用途での遅延は1ミリ秒未満でなければいけません。
  • 大規模マシンタイプ通信(mMTC:Massive Machine-Type Communications)。低コストで電池寿命の長い数十億もの機器のIoT(Internet of Things)への接続をサポートします。このような機器は少量のクリティカルでないデータを転送し、特に遅延の影響を受けるわけではありません。このようなすべてのトラフィックに対応するために、通信事業者は高周波数帯の未使用のスペクトルを使用することに合意しています。しかし、高周波数のための技術は4Gよりも交信距離が短いので、各々の技術を使って個々の交信距離制限に合致した通信とデータを伝送します。

 

 

予想されるすべてのトラフィックのための十分な余地を生み出すために、通信事業者は高周波数帯の未使用のスペクトルを使用することに合意しており、より多くのバンド幅が利用できます。しかし、高周波数のための技術は4Gよりも交信距離が短いので、各々の技術を使って個々の交信距離制限に合致した通信とデータを伝送します。

 

「第1段階では、通信業界は5Gを構成する要素全体に対応しようとはしていません」と、ノキア社の5G市場開発マネージャーであるVolker Held氏は述べています。クアルコム社やインテル社などの企業と一緒に多くの取り組みを行い、ネットワークの観点から適切に通信する相互運用性を備えた機器を作成しました。また、5Gテクノロジーのさらなる構成要素のエコシステムとの連携を続けています」

 

ジョブ固有の装置

最初は、5Gはスマートフォンと無線機器でさらなる高速度を提供するでしょう。5Gが発展するにつれ、IoTの利用が増加し、機器、車両、都市、電力系統、インフラを相互接続します。Statista.comは、2025年までに750億以上の機器がインターネットに接続されると推定しています。

 

最も要求が厳しく複雑な用途では、テクノロジーをモジュール方式で高度に組み合わせる必要があります。例えば、運転支援や自動運転ではダイナミックセルラーV2X(vehicle-to-everything:車両とすべて)、V2V(vehicle-to-vehicle:車両と車両)、V2I(vehicle-to-infrastructure:車両とインフラ)、V2N(vehicle-to-network:車両とネットワーク)が必要です。5Gはこのトラフィックを高周波数帯に送り、高周波数帯では信号応答時間が超高速(低遅延)です。これを可能にするために、クアルコム社、エリクソン社、フォード社、アウディ社などが4Gよりも20倍高速に確実に信号を伝達する新たな機器とシステムを作成しています。

 

「4Gは汎用サービスのための標準ネットワーク機能に基づいていますが、5Gでは特定の種類の用途に合わせて機能を調整できます」

PETER LINDER氏
エリクソン社 北米5Gマーケティング責任者

 

しかし、他の用途ではそのようなミッションクリティカルな速度は必要ありません。スマートファシリティ気候制御システム、工場生産ライン、Eコマースチャットボットがこのグループに該当します。それでも、さまざまな装置が異なる周波数で動作する必要があるか、または計算をエッジクラウドに移行できるクラウドネイティブなソフトウェア駆動型アーキテクチャに依存するでしょう。

 

「これには最初から高度なオーケストレーション機能と自動化機能が必要です」と、エリクソン社のLinder氏は言います。「4Gは汎用サービスのための標準ネットワーク機能に基づいていますが、5Gでは特定の種類の用途に合わせて機能を調整できます」

 

ネットワークスライシング

5Gが発展するにつれ、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN:Software Defined Network)やネットワーク機能仮想化(NFV:Network Functions Virtualization)などの仮想化技術でプラットフォームがさらに細分化されるでしょう。これは「ネットワークスライシング」として知られている手法です。スライシングによって仮想ネットワークを特定の機能専用にできます。これは2020年に実装される見通しです。

 

「5Gは、ネットワークを完全にプログラムで制御できるようにし、さまざまな仮想ネットワークが同じインフラ上にあるシステム・オブ・システムズ(SoS:System of Systems)です」と、Held氏は語ります。「5Gは、多くの垂直産業のデジタル化を可能にするでしょう」

著者: Dan Headrick

ダッソー・ システムズ

3Dソフトウェア市場におけるパイオニアであり、3DとPLMソリューションのワールド・リーダーであるダッソー・システムズ(仏)の日本法人です。
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