この1年でエクスペリエンスへの関心が急上昇。理由は「危機感」 3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2019 直前対談・第三回】 ~ダッソー・システムズ日本法人トップにフォーブス ジャパン谷本有香が聞く~

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10月8日、9日 虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催

 

聞き手/谷本有香(Forbes JAPAN副編集長)
語り手/山賀裕二(ダッソー・システムズ株式会社 代表取締役社長)

 

 

谷本有香(以下、谷本) 日本におけるダッソー・システムズの25年という歴史のなかで、各メーカーや産業界との関わり方もずいぶん変わったのではないでしょうか。

 

山賀裕二(以下、山賀)  最初は部品設計から始まって、だんだん製品全体にも関わるようになりました。ちょうど私たち、日本法人が立ち上げられた頃から、エンジニアリングの考え方が変わってきました。

 

谷本 この場合の「エンジニアリング」とはものづくりに必要な技術やその過程というような意味で捉えるといいでしょうか。

 

山賀 そうですね。例えば私たちが創業した25年前からつい最近までは”シーケンシャル・エンジニアリング”の時代でした。製品を作るのに企画、設計、解析、試作といったステップをシーケンシャルに、つまり順を追って踏んでいきますよね。その過程で企画部門と開発部門など、担当部署に情報が受け渡されて精査されます。

 

谷本 回覧された企画が各部署の責任において精査され、次の部署に回されたり、差し戻されたりしますよね。

 

山賀 そうです。しかしそれでは製品の開発に時間がかかってしまう。テクノロジーも含めてビジネスのさまざまな局面で高速化が進むなか、エンジニアリングがボトルネックになってきてしまった。そこで生まれたのが第2世代の”コンカレント・エンジニアリング”。設計の初期段階からさまざまな部署が参画して、ゴールを見据えながら各工程をオーバーラップさせ、少しずつ前倒ししてコンカレントに、つまり並列的に開発をすすめる手法です。ひとつのデータベースなので、いわゆる”出し戻し”のステップが減るわけです。この手法が現在のスタンダードですね。

 

谷本 この時点でずいぶんと先進的な印象を受けます。

 

山賀 確かにコンカレント・エンジニアリングの導入により開発期間は短縮されるようになりました。ただし、まだ先があります。第3世代の”モデルベース・エンジニアリング”です。各部署や各段階のアウトプットがバーチャル上でリアルタイムに仮想の製品モデルに反映され、関係者は同時に開発中の最新モデルに触れることができる。第一、第二世代の開発の流れを左から右への直線とすると、第三世代の開発はモデルを中心においた円や球です。”カスタマー・エクスペリエンス”をモデルベースで共有することにより、完成前に製品を体験・検証し、さらに柔軟で俊敏な製品開発が可能になるわけです。

 

谷本 まさに先ほどエグゼクティブ・センターで「体験」させていただきましたが、VRはすごいですね。まさに実際に触れているかのようなリアルな感覚でした。いわゆるモックアップ(模型)と違って飛行機などは実際のスケールを体感できますし、変更点などもリアルタイムで反映できるわけですよね。

 

山賀 3DEXPERIENCEはモックアップが果たす役割はすべて内包しつつ、機能面も含めた体験ができます。しかも変更点が即座に反映され、その変更が製品全体にどう影響を与えるかもリアルタイムで確認・検証できます。製品にもっとも近いからこそバーチャルでありながら”リアリティ”なのです。

 

谷本 本当にリアルな体験でした。

 

山賀 しかも”モデルベース”の開発をすることで、実際に生産する製品のバージョンアップも容易になる。例えば、電化製品はハード、ソフト、電気という3つの要素で成立していますが、プロダクトの開発におけるソフトウェアの比率は年々高まっていて、ハードは同じでもバージョンアップすれば機能は向上するわけです。

 

谷本 スマートフォンなどは典型的ですよね。

 

山賀 そうです。その他のプロダクトでも、電気自動車のテスラなども第3世代のプラットフォームで開発されています。3DEXPERIENCEはプロセスごとの業務システムがすべて一つのプラットフォームでつながっていて、そこにコミュニケーションツールから設計ツールまですべてが紐づいている。日本においても、この1年で”プラットフォーム”、”モデルベース”を土台にしたものづくりへの理解がずいぶんと進んできました。

 

 

谷本 この1年で理解が進んだ背景には何があったのでしょうか。

 

山賀 最大の理由は「危機感」でしょう。昨今の世界情勢を見れば一目瞭然ですが、政治の思惑ひとつで経済環境が大きく変化し、企業に大きな影響を与えるということが可視化されてきました。つまり、外部の影響を最小限にできるような強靭性が企業にも求められるようになりました。しかもユーザーはシビアになり、良質なエクスペリエンスがなければ買ってくれないようになりました。もっと言えば、モノを持つ必要がないということにユーザーが気づき、シェアリングエコノミーへと軸足がシフトしている。

 

谷本 自動車などは象徴的ですよね。

 

山賀 そうです。実際クルマを所有する人は減っていて、自己所有の自動車の稼働率も5%程度まで下がっている。さらに自動運転が実用化目前まで来ていて、既存の自動車会社は今後マーケットにどう向き合うか見つめ直す必要に迫られています。

 

谷本 いままでのものづくりは合理化や効率化ということに腐心してきましたが、成果の指標とするべきKPIはエクスペリエンスへと移行しているのかもしれませんね。翻って言えば、ダッソー・システムズのような企業は、産業界の変化の一歩先を行かなければならない。

 

山賀 そのとおりです。ダッソー・システムズはフランスの企業だけれど、あくまでわれわれは日本法人でもあるわけです。前提として日本の産業の発展が重要だし、私たちはそこに寄与しなければならない。そのためにも、先進的な体験をもっと示していく必要がある。残念なことに、現時点では日本よりも欧米のほうが先進的な取り組みは多く、変革スピードも速い。世界をキャッチアップする必要があるのは事実ですね。

 

 

\ 2019年10月8日、9日開催 /

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3Dソフトウェア市場におけるパイオニアであり、3DとPLMソリューションのワールド・リーダーであるダッソー・システムズ(仏)の日本法人です。
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